2016年12月31日土曜日

2016年振り返り

2016年もあとわずかですね.ここで今年の締めくくりとして,2016年に研究で訪れた場所を地図に丸で示して紹介します.


地図の「赤色丸」は研究打ち合わせや研究集会で立ち寄った場所で,「黄色丸」は野外調査で訪れた場所です(ベースマップはgoogleさんより).研究打ち合わせでは,この他に米国サンフランシスコ(アメリカ地質調査所,USGS)にも行きました.

北は北海道,南は沖縄まで幅広く出張の一年でした.中でも,

  1. 4月に発生した熊本地震に対する緊急調査(産総研での調査結果は産総研地質調査総合センターホームページをご覧ください)
  2. 日本で第1級の活断層である跡津川断層系(岐阜県飛騨高山地域)
  3. 南琉球の島々(石垣島,波照間島など)での調査

の出張が大きなイベントでした..また,千葉県の中学校に「地震の科学」を教えるために出前授業を初めてしたのも印象深い出張でした.

また,今年はこれまで以上に研究成果を論文として公表することができました.私の業績リストはホームページ(https://staff.aist.go.jp/otsubo-m/contents_pubj.html)をご覧ください.論文リストで,「2016」と年号がついてる論文が今年公表した論文たちです.多くの研究者との共同研究により,満足のいく研究成果を出せたことに感謝です.

来年は今年を踏まえて,研究者としてより一層飛躍する一年にしたいと考えています.来年もどうぞよろしくお願いします.

2016年12月7日水曜日

アイデア整理

デジタル端末が豊富にある今でも,研究のアイデアを整理する時には,まだまだ紙とペンをよく使います.

アイデア整理には3色の「フリクションボールペン」が便利です.蛍光マーカーのタイプもありますね,これなんて,受験勉強の時にあったら便利だったなと思いました.

このボールペンを使ってると,3つのうちどれか1つの色を早く使い切ってしまうのが困りもの...例えば,黒赤青の3色のフリクションボールペンを使っていると,私の場合は,いち早く使い切るのが赤,次が黒,青がどうしても余ってしまいます...



頭の中に浮かんだ多くのアイデアは,ひとまずA4サイズの紙一枚に収まるように整理するようにしています.整理した紙の端っこに,その時一緒に飲んでるドリンクをメモしておくとその時の気分などを思い出せてgoodです.いつもコーヒー飲むことが多いけれど,ブラックを飲んでいたのか,ラテを飲んでいたのか,を後で分かるようにしておくと面白いです.


アイデア整理にフリクションボールペンを使ってはいるものの,逆に消せないペンで一気にアイデアを書きなぐる方が頭の中のアイデアを出し切れるという話も聞ききます.万年筆を使って,まるで文豪のようにアイデアを出し切るのも良いかもしれません.

アイデア整理には紙とペンがいいと言いつつも,アイデア浮かんだ時はその場でevernoteなどに書き留めとくのは確かに便利ですよね.それを後で紙に整理.二度手間ではなく,やっぱり手を動かすことが大事と思っています.スマホの動画モードで声を録音するのも意外とgoodです.

アイデア整理は,単純な穴埋め問題を解くことではなくて,まっさらの何もないところに自分の思うがままのアイデアを書く...この感覚がいいです.アイデアを整理していると,その多くはすでに他の研究者が気づいて解決していることがよくありますが,それでも頭の中のアイデアがどのくらい生き残るか楽しむのも整理の一環です.アイデア出すためには普段から周囲に対する自分のアンテナの感度を上げたいと毎回実感しています.そうすると,意外な場面でアイデアが思いついたりすることがあります.その時は忘れずにメモしておきたいですね.

2016年11月28日月曜日

南琉球調査その2(波照間)

調査後半に行った波照間島(はてるまじま)を紹介します.



波照間島は自転車でも一日で島をゆっくりと一周できるくらいの大きさの島です(波照間島については,wikipedia:波照間島).波照間島は,「果てのうるま(サンゴ)」という意味から島の名前がついたと言われています.


波照間島には石垣島から高速船で渡ります(およそ1時間で到着).石垣島の湾から外洋に出ると波が高くなります.そのため,この高速船は天候によって欠航することが多いそうです.そのため,今回は波照間島で滞在することを避けて,日帰りでの調査にしました.



波照間島は,日本の有人島最南端の島です(無人島含めれば最南端は沖ノ鳥島).島の南岸には「日本最南端之碑」があります.


下の写真は波照間島南岸の断崖の様子です,10メートルを超える絶壁です...海の向こうはフィリピンですね.ここでは,およそ10万年前に形成された「琉球石灰岩」を切る活断層を見ることができます.

波照間島は琉球列島の中でも海溝(琉球海溝)に近い島で,フィリピン海プレートの沈み込みの影響(プレート沈み込みによる押しの力)を他の島よりも強く受けている可能性があります.そのため,小さい島に活断層がいくつも存在するのはそのためだと考えられます.下の写真の絶壁も波照間島で有数の景勝地ですが,人間の時間スケールを超える地殻変動の結果です.


2016年11月27日日曜日

南琉球調査その1(石垣)

アメリカ西海岸での研究打ち合わせから帰国し,キャリーケースの中の荷物を野外調査道具に入れ替えて,沖縄県に来ています.今回は先島諸島の「石垣島」と「波照間島」での野外調査です.

まずは石垣島での調査について紹介します.石垣島は沖縄県では沖縄本島,西表島に次いで,三番目に大きな島です(石垣島については,wikipedia:石垣島).



石垣島に到着後,まずは島の最北端の平久保崎灯台に移動しました.ここでは恐竜時代より古い地層が露出しています.下の写真右に見ることができるのは「トムル層」と呼ばれる片岩で,海洋プレートの上に堆積した砂や泥の地層がプレートが沈み込んでいくことによって地下深くの高い圧力と温度を経験している岩石です.トムル層の片岩は長崎変成岩に相当すると考えられていて,深さ40kmよりも深いところにあった岩石です.



次は島の南に移動しました.写真は石垣島南岸の大浜集落で見ることができる津波石です.この津波石,1771年の明和の大津波で打ち上げられたと考えられていましたが,サンゴの年代測定結果から約2000年前の津波によるものと考えられるようになりました.



このような津波石と思われる大岩は海岸で多く見ることができます.下の写真でも目立って大きい岩は台風などの波浪では動かないため,津波が一番の原因だろうと考えられています.


石垣島には,琉球石灰岩と呼ばれる,今から10万年〜30万年前に形成されたサンゴ礁由来の岩石が島の南側に広く分布しています.琉球石灰岩は沖縄県の他の島々でも見ることができます.


石垣島では,始新世(今からおよそ5000〜4000万年前)の石灰岩も見ることができます.下の写真は,「宮良川層の石灰岩」です.琉球石灰岩も数千万年経つと...宮良川層のようになるのかもしれません.


調査中はおおむね天候が悪かったのですが,ときおり青い空と青い海を見ることができました.11月も後半ですが,この景色はまだまだ夏って感じがしますね.


2016年11月22日火曜日

米国西海岸打ち合わせ(その2)

出張後半は,メンロパークの南隣のパロアルトです.

この街にある,スタンフォード大学を初めて訪問し,最先端の地震学研究に触れながら,研究打ち合わせを行いました.


上の写真右側に見える塔はスタンフォード大学のシンボル「フーバータワー(Hoover Tower)」です.

下の写真は,今回訪問した,地震学や地球物理学の研究者たちの研究室が入っている建物です.


スタンフォード大学構内は,1891年に創立時からの石造りの建物が多く,「西海岸はサンアンドレアス断層もあるのに,このあたりは地震活動が低いの???」とついつい気になってしまうのですが,1906年サンフランシスコ地震(マグニチュード7.8)の時には大学構内の建物の一部が倒壊したりしたそうです.下の写真の有名な「メモリアル・チャーチ」もその時の地震で被害があったようです.


これで今回の米国西海岸出張は終わり,帰国の途につきます.帰国後は,荷物の準備をして沖縄県先島諸島(南琉球)への野外調査...石垣島や波照間島を予定しています.

2016年11月19日土曜日

米国西海岸打ち合わせ(その1)

今週は研究打ち合わせでアメリカ西海岸に来ています.

サンフランシスコ国際空港に到着し,鉄道を乗り継いで,アメリカ地質調査所(USGS)があるメンロパークへ移動しました.空港からはBART(写真上)と呼ばれるサンフランシスコ/ベイエリアの各地をつなぐ公営高速鉄道システムに乗り,途中で,カルトレイン (Caltrain,写真下)と呼ばれるサンフランシスコとシリコンバレーを繋ぐ鉄道に乗り換えました.



下の写真はUSGS最寄り駅のメンロパーク駅の駅舎です.


USGS(写真下)での打ち合わせ2日間では,午前午後それぞれ30分間隔で15人ほどの研究者と個別に議論する慌ただしいスケジュールでした.30分が一瞬に感じるほど議論が盛り上がり,これまでやってきた研究スタイルがUSGSでもウケて安心しました.皆さん大変好意的に話を聞いてくれました.


今回の収穫の1つとして,外国人研究者と研究打ち合わせの時に短時間で自己紹介する場合は,自分の研究を紹介するホームページのコピー(写真下)で十分だったことです.日頃から英語でホームページを作成し,研究トピックスと業績リストなどを整理しておくと便利です.


外国人研究者との議論で感じたことは,英会話の能力よりも,研究の要点を抑える視点が大事なこと.たどたどしい英会話でも,相手が面白いと思うサイエンスをこちらがやっていることが伝われば議論は十分に盛り上がる印象です.普段から自分の研究結果を他人が見て分かりやすい図や表を作っておきたいですね.その意識は論文執筆にスムーズに繋がっていくと感じています.

2016年11月18日金曜日

コツコツ論文執筆

なんとか1日1時間は論文執筆にあてるように意識するようにしています.論文執筆のリズムに慣れてくると,執筆作業しない日は気持ちが落ち着かないようになっていきます.毎日のジョギングと同じですね.

筆頭,共著含めて,論文数がやっと年齢の数まで10をきってきました.自分の年齢の数まで論文書くことを研究者として一つの通過点と考えています.後々に残る論文を書きたいところです.

研究業績リスト(2016/11/09更新)
https://staff.aist.go.jp/otsubo-m/contents_pubj.html

昨今の成果主義には色々と思うことありますが,,,それでも,論文書くまでが研究だと思うし,論文書くことで自分が研究をやってきた足跡を残せると思っています.学会や研究集会での成果発表は,「足跡を残すこと」ではなく,「アピールのための広報」という位置づけだと思うようになってきました.

研究の足跡をコンスタントに残せているかどうかは,海外研究者との議論の際の説得力に違いがでます.まずは,「自分の研究とは何か?」をスパッと言い切れるための主要論文5つを揃えたいところ.周囲にスパッと言い切れる論文が無くて,「私はこういうこと考えてますよ」というのは海外研究者にはほとんど通じない印象です(すぐに海外研究者にアイデアだけ持っていかれます...).

他の人がツイッターでつぶやいていたことですが,自分の主要論文5つ揃えることは,「ドラクエ」でいうところの,「剣,鎧,盾,兜は常にいいものに揃えて,あとは必要に応じて道具を持ち物いっぱいにして置く」に近い感覚です.持ち物全てをいいものにすることまではない印象です.

論文執筆の際の参考に,以下の二つのホームページを紹介します.

1.研究者のための論文10カ条
http://members3.jcom.home.ne.jp/mag-hu/Tsunogai/Ronbun/Zatsu5/Zatsu5-60d.htm
2.これから論文書く若者のために http://www7b.biglobe.ne.jp/~satoki/ronbun/kyo/korekara/korekara.html

2016年10月14日金曜日

2016年地惑若手会

来月開催される「2016年度 地球惑星科学 学生と若手の会」のお知らせです.

日時:2016年11月12日(土)・13日(日)
場所:東京大学本郷キャンパス 理学部1号館
定員:100名 (予定)
対象:学部生・大学院生・若手研究者・地球惑星科学に興味を持つ方であればどなたでも!
申込締切:2016年10月28日 (金)

詳しくは,webページをご覧ください.
https://sites.google.com/site/nyswakate/2016

最先端の地球惑星科学研究にまつわる様々な分野の講師の講演とグループディスカッションが企画されています.

【プログラム】

11月12日 (土) 10:00–18:30
10:00–10:20 開会式・アイスブレーク
10:30–11:30 講演1: 清家 弘治 先生(東京大学)
                        現在および過去の海洋生態系を対象とした底生生物の研究(仮)
12:50–13:50 講演2: 坂口 綾 先生(筑波大学)
                        見えないものをみる、見えないものからみる~核の汚染と利用~
14:00–15:30 グループワーク1
15:50–16:50 講演3: 内出 崇彦 先生 (産業技術総合研究所 )
                        震源を地震波で読み解く・聴き取る
17:00–18:30 グループワーク2
18:40– 懇親会

11月13日 (日) 9:00–17:30
  9:00–10:00 講演4: 菅沼 悠介 先生(国立極地研究所)
                        地球温暖化で南極の氷は融けるのか?
                        :極限フィールドワークから探る南極氷床の将来安定性
10:10–11:40 グループワーク3
12:30–13:00   掘削船JOIDES Resolution号との船上から中継 (予定)
13:10–14:10 講演5: 上野 雄一郎 先生(東京工業大学)
                        初期地球大気の研究
14:40–15:40 講演6: 堀 安範 先生(国立天文台/アストロバイオロジーセンター)
                        太陽系外惑星から挑む宇宙生物学
15:50–17:20 グループワーク4
17:20–17:30 閉会式

これまで下の写真のような雰囲気で開催されました.



2016年10月12日水曜日

佐渡島調査

9月下旬は地質調査で佐渡島に渡りました,約10年ぶりの佐渡島です.

佐渡島は「佐渡ジオパーク」として日本ジオパークとなっています(2013年選定).

佐渡ジオパーク
http://www.sado-geopark.com/

佐渡市・佐渡ジオパーク推進協議会:佐渡の大地の見どころ(https://www.city.sado.niigata.jp/sadobunka/geopark/resume/2_daithi/2s.pdf)から引用.

佐渡島は東北日本の代表的な地殻変動(大陸時代,日本海拡大前後,第四紀からの短縮変形)が一通り観察できます.調査中の写真をいくつか紹介します.

佐渡島にはフェリー(佐渡汽船,http://www.sadokisen.co.jp/)で渡ります.


カーフェリーのデッキのパネルには佐渡までの航路は国道と表示.国道350号は一般国道として海上部分も道路扱いなのがビックリです.


さて,佐渡島に上陸して,島の北側(外海府海岸)から調査を始めました.

写真1:大野亀での粗粒玄武岩からなる岬.

写真2:北鵜海岸での3億年前のフズリナを含む石灰岩ブロック.おおむね大理石に変化しています.大理石は石灰岩がプレートの沈み込みによって,地下深くまで運ばれて,高温高圧を被ったものです.一部サンゴの痕跡が見ることができます.

写真3:中山峠での日本海の誕生に始まり1000万年間にわたって深海に堆積した珪藻土.

写真4:大須鼻の活断層.写真右側が乗り上がる逆断層で,礫層が断層運動によって引きずられています.崖に活断層の側面が観察できるのは日本では珍しいです.

写真5:河ヶ瀬崎の玄武岩と礫岩の不整合(写真中央).この不整合は日本海(写真左方向)の底につながる境界と考えられて,1983年の研究船による日本海海底掘削でも同様の地層のコア試料が得られました.

写真6:元小木の枕状溶岩.マグマが水中に流れ込んだり,水中で流れ出したりすると枕状溶岩に.ここの枕状溶岩は日本で最初に枕状溶岩として報告されました.マグマの急冷構造であるチルドマージンがハッキリと観察できます.

日本海拡大を含む1億年前から現在までの日本列島付近の地形の変遷は下の図を見てください(おおだwebミュージアムの説明文を一部引用).恐竜が栄えていた1億年前には日本列島はまだなく,ユーラシア大陸が太平洋に直に面しています.日本海の形成開始は中新世の始め頃(約2200万年前)です.大陸の縁辺部(大陸の海岸付近)では火山活動が活発になって大地が割れ始めました.割れた大地には海水が徐々に入っていき,日本海が産声を上げることになります.そして,約1000万年の時間をかけて日本海が拡大し,東日本と西日本が「ハ」の字に開くようにして日本列島が現在の位置に移動していきました.

1億年前から現在までの日本列島付近の地形の変遷図.おおだwebミュージアム(http://sanbesan.web.fc2.com/index.html)より引用.

最後に,佐渡島内の大部分の地域は,「佐渡弥彦米山国定公園」「国指定名勝・天然記念物」に指定されています.これらの地域で調査研究・試料採取をする場合は必ず事前に申請して許可を得る必要がありますのでご注意を.

2016年9月6日火曜日

発表ポスター作りのポイント

9月は研究集会や学会で研究成果を発表することが多い時期.そこで,自分の研究成果をポスター発表する際の,ポスター作りのポイントを大きく分けて3つにまとめました.

学会で観てもらえる・聞いてもらえるポスターを作るには?
https://staff.aist.go.jp/otsubo-m/contents_cv_PosterPresen.html

 1. ポスターを作る前の心構え
  (相手目線にたったポスター作りを意識しよう!)

 2. ポスターを作るときのコツ
  (どこに注目して欲しいかどこを議論したいかを意識して作ろう!)

 3. 発表本番では…
  (できるだけ多くの人に話しかけて積極的に見てもらおう!)



2016年9月2日金曜日

巨人の肩

9月に入り,研究集会や学会での発表の時期となりました.

研究者にとって,9月~10月はもっとも研究集会や学会が開催されることが多く,現在進めている研究の成果をいったん整理する時期にもなります.研究成果の発表が終われば,発表内容を論文としてまとめていきます.理想は研究発表するタイミングで,論文も一通り書き終えているのが理想です.

研究を進めていくのに欠かせない論文や文献の検索,それらを手軽に検索できる学術資料検索に便利なツールとして「Google scholar」があります.

「Google scholar」のトップページには「巨人の肩の上に立つ(Standing on the shoulders of giants)」とあります.12世紀のフランスの学者シャルトルのベルナールの言葉で,「現代の学問は多くの研究の蓄積の上に成り立つ」という意味だそうです(Wikipediaより引用).恥ずかしながら,Google scholarを使い始めて知った言葉でしたが,非常に深い言葉です.

どんなに成果を出しても,それは先人の研究があったからこそですが,1人の研究者としていつまでたっても先人におんぶにだっこでもいけないわけで,,,と先人に敬意を払いながら自分自身の今後の伸びを考えて悶々とする日々です.「研究をすること」は非常に奥深いと感じました.

Google scholar: https://scholar.google.co.jp/?hl=ja

2016年8月19日金曜日

研究紹介

産総研での業務に関する研究内容がメインになっていますが,産総研地質調査総合センター(GSJ)が発行する広報誌「GSJ地質ニュース8月号」に研究紹介の記事を書きました.


長期の断層活動性を評価する手法の開発を目指して:手法の紹介とその適用事例
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol5.no8_235-239.pdf

GSJ地質ニュース8月号の目次はこちら
https://www.gsj.jp/publications/gcn/index.html

GSJ地質ニュースは,産総研地質調査総合センター(GSJ)の研究活動・業務内容ならびに関連事項を一般の方々に広く知っていただくことを目的として月刊で発行している広報誌です.

2016年8月17日水曜日

留学先を考える

リオデジャネイロオリンピックでは連日熱戦が繰り広げられており,日本代表選手が様々な競技で活躍をしています.

研究者にとって,海外の研究者と第一線で戦っていくためには,自分の研究が世界でどのくらい通用するのかを実際に肌で感じなければなりません.そこで,この半年ほど,海外留学を考えています.留学する手段としては,研究所内の海外派遣制度や外部資金の利用,などがあります.

留学先として一番有力なのは,アメリカ地質調査所(Unated States Geological Survey,略してUSGS)です.昨年末のアメリカ出張の際に一度カリフォルニア州メンローパークにあるUSGSの研究施設に立ち寄ってここの研究者たちと打ち合わせをしました.その訪問した際の写真をいくつか紹介します.


USGSは設立が1879年,日本の地質調査所(今の産総研地質調査総合センター)の設立時期(1882年)とほぼ同じです.


昼食では敷地内にある「TECTONIC GRILL」といういかにも地質調査所らしい食堂があり,訪問した時はこの食堂で「Tremorバーガー」を注文しました.「TECTONIC」は地質構造の,という意味です.また,「Tremor」とは振動のことで,日本列島のようなプレートが沈み込んでいる場所では,地下数十キロのプレート境界付近で深部低周波微動(Deep low-frequency tremor)という小さな揺れが発生しています.この微動の発生には水が関与していて,国内では南海地震などの巨大海溝型地震の引き金になる可能性が議論されています.



さて,Tremorバーガーの味ですが...ガブリと食いついた微動の味はsoso(まずまず)でした(笑).

2016年8月2日火曜日

緊急地震速報(誤報)

8月1日午後5時9分ごろ,東京湾を震源とするマグニチュード9以上の地震が発生したとする誤った緊急地震速報が出され,ビックリした人も多いと思います.

NHKオンラインニュース(8月1日 21時07分):
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160801/k10010617121000.html

緊急地震速報には2種類あって,一つはテレビやラジオなどで配信される一般向けのもの,もう一つは鉄道会社など特定事業者向けに配信されるもの,があります.後者は,緊急地震速報(予報)と呼ばれます.両者は精度に違いがあり,前者は2地点以上の地震計で揺れを観測した場合に速報が出されるのに対して,後者は1地点の地震計で揺れを観測した場合に早急に出されるものです.

(千葉県富津市にある地震計が揺れを観測した後の主要動到達までの時間:気象庁,平成28年08月01日17時09分に発生した地震の概要(キャンセル報)より引用)

今回の誤報は,千葉県富津市にある地震計が揺れを検知したようで,この検知を受けて特定事業者向けの速報として配信されました.気象庁によると,千葉県富津市の地震計で「ノイズ」を揺れととらえたということで,落雷による電気信号を大きなノイズと記録した可能性があるそうです.(気象庁webより引用)

特定事業者向けの速報は,1地点目の地震計が観測した後,時間が経過しても2観測点目で検知されなかった場合は雷など地震以外の揺れ(ノイズ)と判断して,発表から数秒~10数秒程度でキャンセル報(地震以外の揺れで発表した緊急地震速報を取り消す情報)を発信することになっています.(気象庁webより引用)

最近1ヶ月間に気象庁が発表した緊急地震速報(予報)の内容は,以下の気象庁webで確認できます.

気象庁,緊急地震速報(予報)発表状況について:
http://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/fc_hist/index.html

誤報とはいえ,地震に対する身構えは大事です.「東京消防庁<安心・安全><地震に備えて:地震に対する10の備え>大事です.」が参考になりますので,これを機に今一度確認してください.

実際に,この速報を受信した時,「東京湾でM9の地震?東京湾で起こる地震のメカニズムを考えても誤報だろう.」と思ったのですが,「いや,ホントだったら...」と思った時,立ちすくんでしまいました.「地震があった時に実際に行動できるか?」を考えることができました.



2016年7月27日水曜日

化石探しGO

ポケモンGOが日本でも配信が開始され,プレーに熱中している人も多いかもしれません.ポケモンGOでポケモンを捕まえるのも楽しいですが…,この夏休みは地質図ナビで地層を調べて「大昔の化石」を探しに行くのも楽しいですよ.

地質図ナビ:
https://gbank.gsj.jp/geonavi/

地質図ナビは,産総研地質調査総合センターから配信される数多くの地質図データを表示できるシステムです.また,活断層や第四紀火山などの地質情報を地質図と合わせて表示することができます.


スマホでも簡単に見ることができるので,スマホ片手に化石探しにGO!恐竜時代の化石を探すならジュラ紀や白亜紀の地層です.


全国の化石探しはwebで色々情報が出ています.博物館のホームページでチェックするのもおススメです.

恐竜化石が見れる日本の博物館をまとめたサイト
http://www.dino.or.jp/dino_m/dm_link.html

Find Travel:子供も大人も夢中でほりほり!「化石発掘」できるスポットがこんなにありました
http://find-travel.jp/article/368

NAVERまとめ:【化石掘りに行く?】化石発掘体験が出来る場所まとめhttp://matome.naver.jp/odai/2137467059661120401

化石を見つけるコツは,神戸市教育委員会「神戸の大地の成り立ちと自然の歴史」のページが参考になります.
http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/strata/fsil_org/16008.html

最後に,化石を採取する時は,「立ち入り禁止の場所には絶対に入らない」,「立ち入りに許可が必要な場合は事前に関係機関に申請する」,「化石採取が禁止されている場所では化石を絶対に採らない(持ち帰らない)」,など,十分にルールを守りましょう.