2016年10月12日水曜日

佐渡島調査

9月下旬は地質調査で佐渡島に渡りました,約10年ぶりの佐渡島です.

佐渡島は「佐渡ジオパーク」として日本ジオパークとなっています(2013年選定).

佐渡ジオパーク
http://www.sado-geopark.com/

佐渡市・佐渡ジオパーク推進協議会:佐渡の大地の見どころ(https://www.city.sado.niigata.jp/sadobunka/geopark/resume/2_daithi/2s.pdf)から引用.

佐渡島は東北日本の代表的な地殻変動(大陸時代,日本海拡大前後,第四紀からの短縮変形)が一通り観察できます.調査中の写真をいくつか紹介します.

佐渡島にはフェリー(佐渡汽船,http://www.sadokisen.co.jp/)で渡ります.


カーフェリーのデッキのパネルには佐渡までの航路は国道と表示.国道350号は一般国道として海上部分も道路扱いなのがビックリです.


さて,佐渡島に上陸して,島の北側(外海府海岸)から調査を始めました.

写真1:大野亀での粗粒玄武岩からなる岬.

写真2:北鵜海岸での3億年前のフズリナを含む石灰岩ブロック.おおむね大理石に変化しています.大理石は石灰岩がプレートの沈み込みによって,地下深くまで運ばれて,高温高圧を被ったものです.一部サンゴの痕跡が見ることができます.

写真3:中山峠での日本海の誕生に始まり1000万年間にわたって深海に堆積した珪藻土.

写真4:大須鼻の活断層.写真右側が乗り上がる逆断層で,礫層が断層運動によって引きずられています.崖に活断層の側面が観察できるのは日本では珍しいです.

写真5:河ヶ瀬崎の玄武岩と礫岩の不整合(写真中央).この不整合は日本海(写真左方向)の底につながる境界と考えられて,1983年の研究船による日本海海底掘削でも同様の地層のコア試料が得られました.

写真6:元小木の枕状溶岩.マグマが水中に流れ込んだり,水中で流れ出したりすると枕状溶岩に.ここの枕状溶岩は日本で最初に枕状溶岩として報告されました.マグマの急冷構造であるチルドマージンがハッキリと観察できます.

日本海拡大を含む1億年前から現在までの日本列島付近の地形の変遷は下の図を見てください(おおだwebミュージアムの説明文を一部引用).恐竜が栄えていた1億年前には日本列島はまだなく,ユーラシア大陸が太平洋に直に面しています.日本海の形成開始は中新世の始め頃(約2200万年前)です.大陸の縁辺部(大陸の海岸付近)では火山活動が活発になって大地が割れ始めました.割れた大地には海水が徐々に入っていき,日本海が産声を上げることになります.そして,約1000万年の時間をかけて日本海が拡大し,東日本と西日本が「ハ」の字に開くようにして日本列島が現在の位置に移動していきました.

1億年前から現在までの日本列島付近の地形の変遷図.おおだwebミュージアム(http://sanbesan.web.fc2.com/index.html)より引用.

最後に,佐渡島内の大部分の地域は,「佐渡弥彦米山国定公園」「国指定名勝・天然記念物」に指定されています.これらの地域で調査研究・試料採取をする場合は必ず事前に申請して許可を得る必要がありますのでご注意を.

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