2016年4月26日火曜日

自然災害が起こった時の心がけ

地震に限らず自然災害が起こった時に心がけたいこと二つ,,,
①事実と解釈の区別
大災害時には色々と情報が飛び回りますが,「事実」と「解釈」は区別して情報を見るように心がけたいですね.○○と考えられる...という情報は「解釈」なので,未確定なことが多く,その後の「事実」で変わることがあります.
②情報の出どころの確認
情報には出典先(情報の出所)がはっきりしているか否かを確認することを心がけたいですね.可能であれば情報元の一次情報を確認したいですね.多方面から多くの情報に触れることができる昨今,自分なりの基準(例えば,出典先の記述があるか否か)をもって情報の取捨選択の判断はしっかりと.情報を周りに伝える際も出典先を合わせて伝えたいですね.

2016年4月15日金曜日

2016年熊本地震

2016 年4月14日21時26分頃,熊本県熊本地方を震源としたマグニチュード6.5(気象庁暫定値)の地震(熊本地震)が発生しました.

産総研地質調査総合センターでは, ウェブサイトを通じて本地震に関する研究情報を発信していきます.

平成28年(2016年)4月14日に発生した熊本地方の地震の関連情報
https://www.gsj.jp/hazards/earthquake/kumamoto2016/index.html

2016年4月13日水曜日

100万年の鼓動

地殻変動を研究する時に「100万年」を一つの単位として扱っています.いわゆる地質学的な時間スケールと呼ばれる時間スケールです.

100万年というと途方もない長い年月ですが,プレートの沈み込みの方向が変化する/変化しない,の最小の単位がおおよそ100万年と考えられています(これより短い時間でプレート沈み込み方向が変化した記録がないためです).
日本列島周辺のプレート(http://www.jishin.go.jp/main/nihonjishin/2010/zenkoku.pdfより引用) 

日本列島の周辺にはいくつものプレートで形成されていて,大きく二つのプレート(太平洋プレートとフィリピン海プレート)が日本列島の下に沈み込んでいます.この沈み込みによって発生する力が様々な地殻変動(例えば,地震)を引き起こすと考えられています.1946年南海地震や2011年東北地方太平洋沖地震のような海溝型地震の繰り返しが数百年〜数千年,2004年新潟県中越地震や1995年兵庫県南部地震のような内陸地震の繰り返しが数千年〜1万年程度です.このような地殻変動に対して100万年単位で考えるというのは一つのモノの捉え方になると考えています.それは,目の前の起こっている自然現象を長い時間の物差し(長い地球の営み)で考えようということです.

プレートが進む速度はだいたい年間1〜10センチメートルで,これはだいたい人間の爪が伸びる速度(1日あたり0.1ミリメートル,http://www.catwalkmodelspain.com/nail/kiso06.phpより引用)と同程度です.


そう思うと,想像もできない長い時間の中で起こっている地殻変動が少しは身近に感じませんか??? 

2016年4月7日木曜日

2016年度調査予定

今週は今年度の野外調査スケジュールを考えています.ここでは2016年度の主な調査予定3つを紹介します.

①日本海東縁歪み集中帯調査(新潟県中越地域)
新潟県中越地震(2004年),中越沖地震(2007年),などの内陸地震発生も記憶に新しいところであり,この地域は日本列島でも非常に歪みが進行している(歪み集中帯)と言われています.現在の歪みの進行具合を明らかにすることがターゲットです.新潟では冬は雪のために調査ができないため,春~秋の時期に調査が限定されてしまいます.積雪がひどい場合はGWまで調査に入れないこともあります.



この川崖で見られるこの露頭(水平方向におよそ200mくらいの長さ)は,第四紀に形成されつつある,いわゆる活褶曲(向斜:下に地層がへこんだ凹の構造)です.褶曲構造は,大雑把にいうと,地層が横からの圧縮(押し)によってたわんだ構造のことです.


上に凸の褶曲構造(背斜構造と言います)では石油がこの凸の部分に貯まりやすくなっていて(石油が褶曲構造にトラップされるとよく言います),新潟県は国内で数少ない石油が採れる場所です(その他の地域では,秋田県と千葉県).写真の露頭では地層に鼻を近づけると石油くさいのが分かります.

②延岡衝上断層調査(宮崎県北部)
「延岡衝上断層」という過去の大規模地震の痕跡が残る断層がターゲットです.この断層は,南海地震や東南海地震などの海溝型巨大地震を引き起こすプレート境界から派生した分岐断層(過去の)と言われています.おおよそ地下8kmほどの断層の姿を残していると言われています.


南海トラフ地震発生域掘削計画(web site)が行われていますが,地下8kmまで掘り抜くまでには当分時間がかかるため,陸上で過去の断層の痕跡をよく調べておこうという目的です.ここでは海岸によく地層が露出しているので,潮の満ち引きを考えながらの調査となります.


写真中央部の黒っぽい部分が断層運動によって岩石が擦れて細粒化した粘土です.何度も繰り返して断層が動くことによって厚い粘土層ができると考えられています.

③南琉球弧調査(沖縄県先島諸島)
琉球列島には,約100万年前のサンゴ礁の地層(琉球石灰岩)を切る断層が多数観察できます.写真は宮古島の琉球石灰岩を切る断層群です.


東シナ海の海底では100万年の長い年月で徐々に沖縄トラフと呼ばれる大きな凹み(海盆)が現在進行形で発達しています.そのために凹みの周囲に弧状に島々の連なり(琉球弧)が形成されます.ここでは沖縄トラフ発達中での琉球弧(琉球列島)の形成メカニズムを明らかにすることがターゲットです.


宮古島で一番の景勝地である東平安名崎(ひがしへんなざき)も100万年単位の地殻変動の結果できたもの...と考えると,地球の鼓動のスケールがいかに大きいかを感じとることができます.沖縄での調査は,夏は強い日射や高い気温のために体力消耗が激しく,新潟とは違って冬が調査のベストシーズンです.また夏は台風が襲来するので避けたいところです.


先島諸島(宮古島から西の島々)には海岸よりも内陸に石灰岩の大岩があります.これは「津波石」と呼ばれていて,過去に10mを超える津波が襲来した際に運ばれたものと考えられています.

2016年4月4日月曜日

Web site紹介

研究のことについてはWeb siteをご覧ください.Web siteのトップ画面は海外研究者も閲覧できるように英語にしていますが,研究成果や業績は日本語のページを作っています.順次更新していく予定です.

Makoto Otsubo Web site
https://staff.aist.go.jp/otsubo-m/index.html


2016年4月3日日曜日

2016年度目標

つくばでもサクラが開花し,職場(産業技術総合研究所,略して産総研)のサクラも見頃になってきました.ただし,満開まではもう一息のようです.


新年度を迎えたこともあり,サクラをながめながら2016年度の目標を考えていました.2016年度は,①研究成果を国際誌に筆頭で2本受理させる,②海外研究者との共同研究について科研費(外部研究資金)を研究代表者として応募する,③海外学会での英語で口頭発表を行う,を達成して海外へ視野を広げる1年としたいと思っています.今年度は研究打ち合わせや国際学会発表のためにアメリカに2回行く予定です.
海外研究者と話をして強く感じるのは,海外研究者は研究者の研究成果の生産性をよく見ていることです.日本では「業績主義に偏っているために革新的な挑戦的な研究をやりにくい」と言われる昨今ですが,研究成果は論文として確実に公表まで行うことで,研究者としての顔が示すことができることを強く感じます.論文がなく,「私はこの問題について○○を考えていますよ」と言うだけでは通用しない厳しい世界です.その研究者の世界で感じる緊張感を常に忘れず,2016年度の研究を進めていきたいと思います.

2016年4月2日土曜日

ブログ開始

大学院博士課程を修了し地球惑星科学の研究者となって10年,これを機にブログをスタートしました.

日々の研究生活や地殻変動に関することについて思うことを書いてきたいと思います.

地殻変動の中でも主に断層活動の研究をしているので,学生時代から「俺はFaultMANだ!」って海外研究者にアピールしていたのですが,なぜか苦笑い.あとで辞書で調べてみると...Faultには「断層」の意味以外に,「おっちょこちょい」とか「失敗」とかの意味があるそうです.そりゃ苦笑いするよなぁ...と.

まぁ,でも性格的に「おっちょこちょい」なので,FaultMANを気に入っています.

どうぞ,よろしくお願いします.