2016年8月19日金曜日

研究紹介

産総研での業務に関する研究内容がメインになっていますが,産総研地質調査総合センター(GSJ)が発行する広報誌「GSJ地質ニュース8月号」に研究紹介の記事を書きました.


長期の断層活動性を評価する手法の開発を目指して:手法の紹介とその適用事例
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol5.no8_235-239.pdf

GSJ地質ニュース8月号の目次はこちら
https://www.gsj.jp/publications/gcn/index.html

GSJ地質ニュースは,産総研地質調査総合センター(GSJ)の研究活動・業務内容ならびに関連事項を一般の方々に広く知っていただくことを目的として月刊で発行している広報誌です.

2016年8月17日水曜日

留学先を考える

リオデジャネイロオリンピックでは連日熱戦が繰り広げられており,日本代表選手が様々な競技で活躍をしています.

研究者にとって,海外の研究者と第一線で戦っていくためには,自分の研究が世界でどのくらい通用するのかを実際に肌で感じなければなりません.そこで,この半年ほど,海外留学を考えています.留学する手段としては,研究所内の海外派遣制度や外部資金の利用,などがあります.

留学先として一番有力なのは,アメリカ地質調査所(Unated States Geological Survey,略してUSGS)です.昨年末のアメリカ出張の際に一度カリフォルニア州メンローパークにあるUSGSの研究施設に立ち寄ってここの研究者たちと打ち合わせをしました.その訪問した際の写真をいくつか紹介します.


USGSは設立が1879年,日本の地質調査所(今の産総研地質調査総合センター)の設立時期(1882年)とほぼ同じです.


昼食では敷地内にある「TECTONIC GRILL」といういかにも地質調査所らしい食堂があり,訪問した時はこの食堂で「Tremorバーガー」を注文しました.「TECTONIC」は地質構造の,という意味です.また,「Tremor」とは振動のことで,日本列島のようなプレートが沈み込んでいる場所では,地下数十キロのプレート境界付近で深部低周波微動(Deep low-frequency tremor)という小さな揺れが発生しています.この微動の発生には水が関与していて,国内では南海地震などの巨大海溝型地震の引き金になる可能性が議論されています.



さて,Tremorバーガーの味ですが...ガブリと食いついた微動の味はsoso(まずまず)でした(笑).

2016年8月2日火曜日

緊急地震速報(誤報)

8月1日午後5時9分ごろ,東京湾を震源とするマグニチュード9以上の地震が発生したとする誤った緊急地震速報が出され,ビックリした人も多いと思います.

NHKオンラインニュース(8月1日 21時07分):
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160801/k10010617121000.html

緊急地震速報には2種類あって,一つはテレビやラジオなどで配信される一般向けのもの,もう一つは鉄道会社など特定事業者向けに配信されるもの,があります.後者は,緊急地震速報(予報)と呼ばれます.両者は精度に違いがあり,前者は2地点以上の地震計で揺れを観測した場合に速報が出されるのに対して,後者は1地点の地震計で揺れを観測した場合に早急に出されるものです.

(千葉県富津市にある地震計が揺れを観測した後の主要動到達までの時間:気象庁,平成28年08月01日17時09分に発生した地震の概要(キャンセル報)より引用)

今回の誤報は,千葉県富津市にある地震計が揺れを検知したようで,この検知を受けて特定事業者向けの速報として配信されました.気象庁によると,千葉県富津市の地震計で「ノイズ」を揺れととらえたということで,落雷による電気信号を大きなノイズと記録した可能性があるそうです.(気象庁webより引用)

特定事業者向けの速報は,1地点目の地震計が観測した後,時間が経過しても2観測点目で検知されなかった場合は雷など地震以外の揺れ(ノイズ)と判断して,発表から数秒~10数秒程度でキャンセル報(地震以外の揺れで発表した緊急地震速報を取り消す情報)を発信することになっています.(気象庁webより引用)

最近1ヶ月間に気象庁が発表した緊急地震速報(予報)の内容は,以下の気象庁webで確認できます.

気象庁,緊急地震速報(予報)発表状況について:
http://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/fc_hist/index.html

誤報とはいえ,地震に対する身構えは大事です.「東京消防庁<安心・安全><地震に備えて:地震に対する10の備え>大事です.」が参考になりますので,これを機に今一度確認してください.

実際に,この速報を受信した時,「東京湾でM9の地震?東京湾で起こる地震のメカニズムを考えても誤報だろう.」と思ったのですが,「いや,ホントだったら...」と思った時,立ちすくんでしまいました.「地震があった時に実際に行動できるか?」を考えることができました.